大阪府箕面市に本部を置く「社会福祉法人あかつき福祉会」からのお知らせと最新情報
授産活動紹介シリーズ その1 「製袋作業」
2012/01/30 18:10:46 Mon.
あかつき福祉会の授産活動をシリーズで紹介します。第1回は製袋作業です。
あかつき福祉会では利用者の障害程度に応じた作業活動を行っています。農園で野菜を作ったり、パンやケーキを作ったり、さをり織りでペンケースやコースターを作ったりしています。そして、それらを販売してその売上から必要経費を差し引いて、残りをすべて工賃として従事した利用者に毎月支払っています。工賃の平均額は月15,000円です。
この作業の中心となるのが箕面市のごみ袋の製造です。
市民のみなさんは、ごみ袋の下の方に「あかつき福祉会」と書いてあるのをご存じですよね。
あかつき福祉会でごみ袋の製造を始めたのは20年近く前の平成5年にさかのぼります。
当時の市の担当者が、①作業工程がいろいろと分かれており、幅広く障害のある方が関われる作業である。②年間を通してコンスタントに仕事がある。③障害のある方の就労支援に市としても寄与できる。等々の理由から、このごみ袋の製造をあかつき園とワークセンターささゆりの作業にしようと考え、当時の市長や市議会の了承を得て、ごみ袋の製造及び配送業務をあかつき福祉会に委託してくださいました。
これにより当時10,000円だった工賃は一気に20,000円へと跳ね上がりました。画期的なことでした。それ以降、あかつき福祉会の作業の中心になっています。
製造工程ですが、先ず業者から原反という幅55cm、長さ1,050mのポリエチレンをロール状にしたもの(重さは34kgもあります)を製袋機にセットし、1枚ずつカットして、袋の底の部分を圧着(熱で張り合わせる)します。1ロールで約1,400枚のごみ袋ができます。1日で約22,000枚のごみ袋を製造しています。
次に袋の結びしろを裁断機で型抜きし、出来上がったものを10枚単位で折りたたんで、小袋に入れてその口を圧着します。これを40袋ずつ段ボールの箱に詰めて完成です。このようにいくつもの工程があるので、機械の操作ができる人、折りの上手な人、圧着が得意な人、袋詰めやダンボール詰めができる人、重さを量って必要量がきちんと入っているか計る人、運ぶ人、市内102箇所ある販売店に配送する人・・・・・その人にあった作業ができます。
最近の機械はすべてオートマチックになっており、原反をセットすると袋詰めまでして完成品が出てくるのですが、作業工程を確保するため、現在も導入時の機械を使い、旧来の方法で製造しています。
市民のみなさんに年1回お配りする30ℓの無料のごみ袋を年間約530万枚製造しています。
ただ、課題もあります。年々利用者の重度化が進んでいるので、作業効率が悪くなっていること、出来たものを保管しておく倉庫が足りないこと、また意図的に利用者ができる作業工程を作っていることから、その分ごみ袋代に反映するので市の委託料が多少高くなっていることなどです。
導入当初は製袋機を使いこなすのに色々と苦労しました。機械なので起動・停止のボタン操作だけでごみ袋ができると思っていたら大間違い。例えばカッターは気温によって伸縮し、切れなくなることがあります。固定しているボルトを締めたり緩めたり、冬場は歯の部分をヘアドライヤーで暖めたり、また、圧着の際にも季節や原反の質により、圧着温度や速度なども微妙に調整しなければなりません。度重なる失敗や試行錯誤を繰り返し、その都度課題を乗り越え、使いこなせるようになっていきました。機械が順調に動かないと作業が止まってしまいますので、今でも気温には細心の注意を払っています。さらに、最も大切で気を遣うことは「品質管理」です。「あかつき福祉会が作ったものは、不良品が多いね」には絶対にならないよう、製品として完全な物を届けることが求められます。各製造工程での検品方法などの改善や、利用者が間違わずに作業できるよう、個々の能力を見極め、作業方法を確立していくなど、常に品質管理に努めています。
この作業による効果は絶大です。最初の頃は1日をとおして作業に取り組めなかった方が、日々の反復と積み重ねの中で、徐々に持続できる体力や集中力、頑張れる気力を身に付け、取り組めるようになります。また、職員の励ましや先輩利用者の仕事ぶりに感化されるのも大きな要因です。結果、スピードアップが図れ、取り組める工程も増え、生産量に貢献出来るようになっていきます。不良品があってもスルーしていたのが、見つけたら職員に報告できるようになる方もいます。また、最初は工賃に興味を示さなかった方が、工賃を励みに意欲的に取り組めるようになったり、目標数より多くできた時や、早く達成できたことにやりがいを感じたり・・・・・。正に「継続は力なり」を感じます。
工賃は貯金をしている方が多いようですが、どんなことに使っているのかインタビューしました。
・アイドルの本やCD、DVDを買ったり、テレビガイド、服を買います。
・家族とお寿司を食べにいき、ご馳走します。
・好きな模型を買ったり、100円均一の店で文具やアクセサリーなどを買います。
・休みの日に家族と電車に乗って出かけたり、ガイドヘルパーさんと色々なところへ出かけて食事をします。
・お母さんに預けています。時々ビールやマッコリとおつまみを買います。
作業はしんどいけれども、休日は働いて得た工賃を「楽しいこと・励みになること」に使ってほしいと思います。
利用者があかつき園やワークセンターささゆりを利用できる期間は限られています。その限られたかけがえのない時間の中で、利用者が働くことや買い物など生活をしていくことに必要な力をつけ、成長を促すツールとして、ごみ袋の製造などの作業活動は大変重要な役割を担っています。
これからも利用者・職員、そして作業ボランティアの皆さんと協力して、市民のみなさんにごみ袋をお届けします。
(あかつき園 渡辺)
あかつき福祉会では利用者の障害程度に応じた作業活動を行っています。農園で野菜を作ったり、パンやケーキを作ったり、さをり織りでペンケースやコースターを作ったりしています。そして、それらを販売してその売上から必要経費を差し引いて、残りをすべて工賃として従事した利用者に毎月支払っています。工賃の平均額は月15,000円です。
この作業の中心となるのが箕面市のごみ袋の製造です。
市民のみなさんは、ごみ袋の下の方に「あかつき福祉会」と書いてあるのをご存じですよね。
あかつき福祉会でごみ袋の製造を始めたのは20年近く前の平成5年にさかのぼります。
当時の市の担当者が、①作業工程がいろいろと分かれており、幅広く障害のある方が関われる作業である。②年間を通してコンスタントに仕事がある。③障害のある方の就労支援に市としても寄与できる。等々の理由から、このごみ袋の製造をあかつき園とワークセンターささゆりの作業にしようと考え、当時の市長や市議会の了承を得て、ごみ袋の製造及び配送業務をあかつき福祉会に委託してくださいました。
これにより当時10,000円だった工賃は一気に20,000円へと跳ね上がりました。画期的なことでした。それ以降、あかつき福祉会の作業の中心になっています。
製造工程ですが、先ず業者から原反という幅55cm、長さ1,050mのポリエチレンをロール状にしたもの(重さは34kgもあります)を製袋機にセットし、1枚ずつカットして、袋の底の部分を圧着(熱で張り合わせる)します。1ロールで約1,400枚のごみ袋ができます。1日で約22,000枚のごみ袋を製造しています。
次に袋の結びしろを裁断機で型抜きし、出来上がったものを10枚単位で折りたたんで、小袋に入れてその口を圧着します。これを40袋ずつ段ボールの箱に詰めて完成です。このようにいくつもの工程があるので、機械の操作ができる人、折りの上手な人、圧着が得意な人、袋詰めやダンボール詰めができる人、重さを量って必要量がきちんと入っているか計る人、運ぶ人、市内102箇所ある販売店に配送する人・・・・・その人にあった作業ができます。
最近の機械はすべてオートマチックになっており、原反をセットすると袋詰めまでして完成品が出てくるのですが、作業工程を確保するため、現在も導入時の機械を使い、旧来の方法で製造しています。
市民のみなさんに年1回お配りする30ℓの無料のごみ袋を年間約530万枚製造しています。
ただ、課題もあります。年々利用者の重度化が進んでいるので、作業効率が悪くなっていること、出来たものを保管しておく倉庫が足りないこと、また意図的に利用者ができる作業工程を作っていることから、その分ごみ袋代に反映するので市の委託料が多少高くなっていることなどです。
導入当初は製袋機を使いこなすのに色々と苦労しました。機械なので起動・停止のボタン操作だけでごみ袋ができると思っていたら大間違い。例えばカッターは気温によって伸縮し、切れなくなることがあります。固定しているボルトを締めたり緩めたり、冬場は歯の部分をヘアドライヤーで暖めたり、また、圧着の際にも季節や原反の質により、圧着温度や速度なども微妙に調整しなければなりません。度重なる失敗や試行錯誤を繰り返し、その都度課題を乗り越え、使いこなせるようになっていきました。機械が順調に動かないと作業が止まってしまいますので、今でも気温には細心の注意を払っています。さらに、最も大切で気を遣うことは「品質管理」です。「あかつき福祉会が作ったものは、不良品が多いね」には絶対にならないよう、製品として完全な物を届けることが求められます。各製造工程での検品方法などの改善や、利用者が間違わずに作業できるよう、個々の能力を見極め、作業方法を確立していくなど、常に品質管理に努めています。
この作業による効果は絶大です。最初の頃は1日をとおして作業に取り組めなかった方が、日々の反復と積み重ねの中で、徐々に持続できる体力や集中力、頑張れる気力を身に付け、取り組めるようになります。また、職員の励ましや先輩利用者の仕事ぶりに感化されるのも大きな要因です。結果、スピードアップが図れ、取り組める工程も増え、生産量に貢献出来るようになっていきます。不良品があってもスルーしていたのが、見つけたら職員に報告できるようになる方もいます。また、最初は工賃に興味を示さなかった方が、工賃を励みに意欲的に取り組めるようになったり、目標数より多くできた時や、早く達成できたことにやりがいを感じたり・・・・・。正に「継続は力なり」を感じます。
工賃は貯金をしている方が多いようですが、どんなことに使っているのかインタビューしました。
・アイドルの本やCD、DVDを買ったり、テレビガイド、服を買います。
・家族とお寿司を食べにいき、ご馳走します。
・好きな模型を買ったり、100円均一の店で文具やアクセサリーなどを買います。
・休みの日に家族と電車に乗って出かけたり、ガイドヘルパーさんと色々なところへ出かけて食事をします。
・お母さんに預けています。時々ビールやマッコリとおつまみを買います。
作業はしんどいけれども、休日は働いて得た工賃を「楽しいこと・励みになること」に使ってほしいと思います。
利用者があかつき園やワークセンターささゆりを利用できる期間は限られています。その限られたかけがえのない時間の中で、利用者が働くことや買い物など生活をしていくことに必要な力をつけ、成長を促すツールとして、ごみ袋の製造などの作業活動は大変重要な役割を担っています。
これからも利用者・職員、そして作業ボランティアの皆さんと協力して、市民のみなさんにごみ袋をお届けします。
(あかつき園 渡辺)
カテゴリ: 活動紹介
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