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    大阪府箕面市に本部を置く「社会福祉法人あかつき福祉会」からのお知らせと最新情報

    平成27年度あかつき福祉会人権研修を実施しました ~ハンディースーツから見えたカイジョの魅力~ 

     秋も深まり箕面の紅葉も色づき始めているようです。
     さて、今年度の人権研修は箕面市内で一人暮らしをされている今井雅子さんを講師にお迎えし、「ハンディースーツから見えたカイジョの魅力」と題してご講演いただきました。
    (注)「ハンディースーツ」:今井さんの造語で、ご自身を表す表現として使っておられます。
    (注)「カイジョ」:今井さんは、今回の講演では介助のことをカタカナで表現して使っておられます。

     今井さんは先天性の脊髄性筋萎縮症(SMA)という病気により、生後から今日に至るまで、ご家族や学校の先生、同級生や先輩・後輩、そして介護のプロであるヘルパーなど、いろんな人の介助を受けながら、学び、遊び、働き、生活されてきました。
     そして、2003年からは一人暮らしをはじめられ、生活のあらゆるシーンで介助が必要なため、1日のうち24時間近く介助者と一緒に暮らしておられます。

     昨年度の人権研修は「障害のある方たちの暮らしについて学ぶ」と題して、障害のある方のご家族の立場から、お子さんの「自立」をどのように見守り支えてこられたのか等の経験談をお聞かせいただいたのですが、今回は障害当事者の立場から、多くの人の介助を受けてこられた今井さんに「介助」をキーワードとして学ぶ場を持とうと企画したものです。

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     講演はご自身の障害や身体のこと、ハンディースーツという言葉を使っているいきさつなどの話からスタートしました。
     続いて、幼い頃の母の介助の手は力強く迷いがなく感覚的には「ごつごつ」感があったが、6歳の時にキャンプに行ってはじめてボランティアの介助を受けた時のその手は頼りなげで弱々しいが「わくわく」するものであったなど、ご自身の「カイジョ」の変遷のお話があり、なかでも
     *他者の介護から一人の人として尊重される実感
     *いろんな人の介助を得ることで、できることがどんどん広がっていく
     *人生を自分のものにする
    これが「カイジョ」の原点です、とのお話がとても印象的でした。

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     次に、今井家の「カイジョ」事情についても色々とお話いただき、介助者と今井さんとの関係性や介助者と一緒に考え、試行しながら今井さんの介助方法や生活をつくってきたことなどの話は、参加者皆がその場面を思い浮かべながら聞き入っていました。

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     結びに、介助者として大切なことは、日々の介護や支援をとおして
     *考えること
     *感じること
     *そして、考え・感じたことをいろんな人と語ること
    が大切である、また介助の一番の先生は
    「ことばではない会話をする人=ことばでの意志表現が困難な重い障害のある人」ではないかとのお話がありました。

     今井さん、この度は「カイジョ」の魅力を沢山伝えていただき本当にありがとうございました。
     最後に、参加した職員の感想をいくつか紹介したいと思います。

    • 介助を魅力ととらえられている今井さんに感動しました。介助者に最初からパーフェクトを求めず、今井さんが上手な介助者の技の伝達役をされ、15人の介助者の方々は常に今井さんと何らかのコミュニケーションをとりながら、介護の向上に努めておられる様子が目に浮かぶようでした。


    • 介助する側、される側の関係性の難しさやリアルなコメントにはっとする事がありました。どちらも同じ人間同士お互いをお互いの立場で感じあいながら過ごしていくなかで、関係性を築いていくんだなぁと思いました。今井さんの生の声を聞けて背筋がピーンと伸びた部分とほぐれた部分がありました。


    • 「自分が発信したことは全て自分に返ってくる」の言葉が印象に残りました。
      これは、介助される側だけでなく介助する側もそうだと思う。利用者の方に対する支援も自分が発信したことに責任を持てる支援をしていきたいです。

    事務局長 亀谷雅彦

    カテゴリ: 講演会・セミナー

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